万世一系は過去の礼賛、無謬論ではなく現世を縛り未来に和の普遍理念を繋ぐ美称表現

日本の皇位継承の歴史においては道鏡事件もあれば南北朝の分裂もありました。
これらは今現在でも隠蔽されることなく皇統・皇位継承議論における基本的な要素として捉えられています。
国の歴史、人のすることはきれいなことばかりではなく、迷いや誤りもあっての積み重ねとなります。
過去に悪事や悪例がないことが重要なのではなく、いかにそれらを修正し高めて来たかこそが重要であり、そうした先人の蓄積、伝統の昇華が尊敬、誇り、役割意識、責任感に繋がります。

皇統、天皇の価値を重んじる人、いわゆる伝統派、保守派の根本は、過去の礼賛、無謬論とは別に、過去の反省も踏まえつつ和の質(皇位継承、一系継承の十分条件)、民のかまど、君民共治のレベルを高めて来た歴史、先人の営みに畏怖の念と感謝、感動を覚え、これを現世を預かる自分たちでしっかりと受け継ぎ、未来の子孫に違えずに伝えていこうという役割意識と責任感を意識した上で“万世”一系と表現している形となります。

伝統派、保守を自認する人の中には無謬論、礼賛の立場で皇統、皇位継承を語る人もいますが、それは本来的な保守、伝統派の立場、理解とは大きく異なるものと捉えます。
世界一歴史の長い、ローマ法王より格上、世界最高の権威、ホワイトタイで空港に出迎えなどなどの言説で皇位皇統、天皇存在を語る人々とは別の形で皇統論を語り、深めていきたいものと思います。

確かに、長い歴史、先人の積み重ねによる126代に渡る皇統、国の存続は尊いもので、そうしたものを高く評価し敬意を表する立場の海外の認識は多いです。
(一方、こうした価値はさほど重要視せず今現在の実態を重視する人たちもいます)
しかし現世日本人の立場では、こうした先人の蓄積をもとにした高評価に慢心してはならないと考えます。
いくら尊い歴史、伝統でも、それが本来の形で現在に活かされていなければ国民も豊かになりませんし、国の在り様としても価値の高いものとはなりません。
歴史の重みからくる高評価も、やがては損なわれていく形になってしまいます。

「民のかまど」「君民共治」「和」の理念と連動し、国民生活も国の運営の在り様も高まってこそ皇位の意味は活きますし、まさに「国民の総意に基く」天皇存在となります。
逆に、「民のかまど」の対極で既得権層・既得構造の固定化や民からの収奪が進むような状態にあって、皇位を自賛しても意味はありません。
皇位を私物化せずあえて傍系他家に渡す抑制的な継承方法:一系継承:傍系移行により和の原点回帰を図り、淀んだ既得権構造を崩し国を再生しつつ国民生活を豊かに高めてこその皇位、天皇存在となります。

「万世一系」とは、こうした抑制的な継承方法により国の再生、和の原点回帰を図りつつ「民のかまど」=国民生活を高めていく仕組みを、現世でしっかりと受け継ぎ実践しつつ未来へと繋げていこうという未来志向、責任感に基づいた“美称表現”となります。
「万世」に渡って抑制的で長期視点、和の原点回帰を促す「一系」継承を続けていきましょう!という意味合いの文言・表現となります。

仮に歴代天皇における実際の遺伝的な繋がり、血脈が途切れていたとしても万世一系、制度としての一系継承の意味、意義は損なわれません。
今そして未来において、ルールに背いた私物化継承(皇位の由来無視)を戒め抑止し傍系移行を為さしめる縛りという意味において有効であり、和の維持装置・原点回帰装置となります。
そうした意味において未来への意志の込められた表現である「万世一系」は有効です。

そもそも現在、令和の時代でも皇位は126代です。
万世=10,000世代ということで差し引きすると、過去~現世で126、現世~未来で9,874という配分・バランスになります。
万世一系:一万世代を成り立たせるためには、あと9千8百超の世代の積み重ねが必要となります。
逆に、あと9千8百超の世代の積み重ねがあってこそ成り立つのが「万世一系」となります。
この数字を見ても、「万世一系」とは過去への着目、過去の礼賛とは別に、未来(9千8百超)にこそ力点があり、未来に繋げていこう!という意志の込められた文言であることが理解出来るものと思います。

近視眼、現世至上の感覚、考え方とは別に、長期視点、(過去・未来から現世という)世代を預かる意識でいると一つの文言でも意味合い、捉え方が異なってくるという如実な例となります。

日本国憲法における「国民の総意に基く」という文言表現。(第1条)
教育勅語における「天壌無窮の皇運」という文言表現。
「万世一系」という文言表現。
これらはいずれも共通の和の価値観、普遍理念への敬意、感嘆、責任感、役割意識の発露からくる美称表現であり、未来に繋げていこう、続けていこう、損なわないようにしよう!という思いの込められた日本語となるのです。

そしてこれらに通底する共通の和の価値観、普遍理念とは、
皇位を預かりものと捉え私物化しない、抑制的な一系継承:傍系移行により和の原点回帰(既得構造のリセット)を図りつつ民のかまど=国民生活を豊かに高める君民共治の国の在り様=「和」となります。
天皇=和。
和=一系継承の天皇。
これが先人が歴史を踏まえつつ積み重ねて来た価値観、伝統の昇華となります。

あらためて、我々の世代で再確認をしつつ、再確立して国を建て直しつつ未来に伝えていきたいものです。
みなさんとそうした議論を深めていきたいものと思います。

万世一系の未来論に関しては、図表も含めたスライド動画説明を Youtube に登録しました。
ぜひご覧いただきたく。

小中学生のための天皇・皇位継承論 1 後半
・継体天皇 手白香皇女
・推古天皇 蘇我馬子
・光格天皇 後桜町天皇
・明治の皇室典範 高度な昇華
・憲法1条 象徴 国民の総意に基く
・憲法2条 世襲 皇室典範
・旧宮家子孫から皇籍に組み入れ・宮家設立

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