憲法1条の意味、重み

日本国憲法第一条の「国民の総意に基く」という規定は、数の概念を示す文言ではありません。
「日本国民の歴史を踏まえた文化的普遍的な共通認識に基く」という意味合いとなります。

「日本国民の”至高の”総意に基く」というのが日本国憲法の当初案として国会に提示されたものでしたが、「国民主権」の明確化という中で文言が修正された形となります。(→「主権の存する日本国民の総意に基く」)
本来、主権が国民に存することと、主権者たる国民の”至高の”総意に基き皇位が位置付けられるということとは何ら矛盾しませんので、「国民の総意が時々で左右出来るような安易なものではない、数の概念ではない」という点で誤解を招かないように「至高の」を削らずに残しておいた方がより明確だったと思います。
(「この地位は、主権の存する日本国民の至高の総意に基く」)
しかしながら「国民の総意」というだけでも非常に重い言葉、概念ですので、それを憲法の条文において用いる前提は何なのか、どういう前提があればこの文言を用いて憲法規定し得るのかをよくよく考えることが重要となります。
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リンク紹介 Direct lineage would destabilize throne ヘラルド朝日

【リンク紹介】
外国人に向けた英文での皇位継承解説。
日本において皇統断絶がなく続いてきたのは継承方法に鍵があり。
直系継承ではなく皇位を私物化しないで預かりものと捉える一系継承により、民を長期視点にナビゲートし原点回帰を図りつつ維持してきた。

「ヘラルド朝日」2005.12.01
POINT OF VIEW ~ Direct lineage would destabilize throne
視点 ~ 直系継承は皇位を危うくする
始祖と先祖伝来の積み重ねを尊重する系統継承
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「民の奔流」の恐ろしさ 王統断絶・国王処刑の西欧歴史

王皇制は安定している時はよろしくも、一旦国民との間に不信感が芽生えたら王皇の処刑(暗殺とは別に)や恐怖政治(王皇派も処刑、反王皇派も処刑等)にも至る非常に恐ろしいリスクもはらんでいる体制となります。
王皇制、王皇と国民との関係がいつまでも今までのように続く(安定)と安易に考えて王皇の在り様、継承方法等を考えること、改変することは非常に危険なことで、王皇の処刑や恐怖政治にも繋がりかねないというリスク認識こそが議論の大前提となります。

今の皇位継承議論において決定的に欠けているのはこの基本認識です。
皇統断絶・天皇処刑の経緯がない日本の歴史が特異で恵まれたものです。
他国においては王統皇統の断絶、王皇の処刑、恐怖政治の過去、歴史があることを十分に検証した上で、日本においてもそうならないようにとの慎重さ、深謀遠慮に基き議論を進めていく意識が必要不可欠となります。
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天皇の長男でも天皇になれない妊娠時崩御 家督・相続物でない証左

天皇の長男でも一生天皇になれないのは妊娠時崩御の場合です。
崩御した天皇の子が胎児の場合において生まれるまで一時的に代替わりを猶予しないのは、皇位が高度に公的なものであり私的な相続物ではないことの証左であり、一系継承の本質を示す究極例となります。
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国連、外国人の女性天皇質問に際しての応答例

日本の天皇、皇位継承において女性が天皇になれないのはなぜ、どのような意味があってなのですか?
と外国人や国連関連等から尋ねられた際に、日本人の一人としてどう答えますでしょうか。
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憲法2条 「世襲」の意味

憲法2条の「世襲」には、憲法1条の「象徴」「国民の総意に基く」が前提・制約として掛かっています。
これは、皇室典範2条の「皇長子」に典範1条の「皇統に属する男系の男子」が前提・制約として掛かっていて、ここで規定される「皇長子」に愛子内親王は含まれないことと同じです。
法文の文言を単独で抜き出して辞書的な意味を主張・解釈しても意味はありません。
(辞書的な意味で「皇長子」は天皇の長子の意味だから愛子さまが皇位継承者として法律で規定されている!と主張するいわゆる愛子女帝派も見受けられますが、実際の法運用上は皇室典範2条の「皇長子」として見なされてはおらず、皇位継承順は付与されていません)
法律は前の条文等含めて全体で整合性が取れるように設計されているものとなりますので、法の解釈においては統合的な捉え方が必要で重要となります。
憲法2条は、「象徴」「国民の総意に基く」を満たす(すなわち下位条文・理念とも根本矛盾しない、憲法14条 門地差別禁止の理念に根本矛盾しない)「世襲」が「皇室典範」に規定され、それに基き皇位継承が執り行われる旨規定されているものとなります。

また憲法2条における「世襲」を捉える上で重要なのは、世襲宮家・世襲親王家(旧宮家の皇族)の即位を前提(有り得る)として規定されているという点です。
日本国憲法の公布は1946年(昭和21年)、施行は1947年(昭和22年)5月3日で、旧宮家の皇籍離脱は1947年(昭和22年)10月14日という時系列です。
日本国憲法も皇室典範も旧宮家皇族が殿下として皇室に存在する形において実際に運用されているもので、時の天皇から数百年離れた皇族が存在してもなんら支障がない規定となっています。
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女性天皇(現行法制に反する)に8割以上が賛成の現状は天皇が本来の役割を果たしてこなかった何よりの証左

女性天皇(現行法制:皇室典範に反する)に8割以上の国民が賛成という現状は、天皇が本来の役割・責任を果たしてこなかったという何よりの証左となります。
天皇の役割・存在意義の究極は即位・在位の年齢制限に表れています。
すなわち0歳で即位・在位が可能。
可能というよりは「直ちに即位する」(即位すべし)という規定、文言です。
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神武天皇の実在性、Y染色体

皇位皇統の伝統的立場からは、初代神武天皇は始祖である天照大御神に繋がる存在として位置づけられています。
神さまの子孫とされているのですからそもそも実在性や史実的裏付けを根拠としておらず、伝承に基く文化的理念的な存在想定が根拠で十分という位置づけです。

むしろ初代天皇の神武天皇でさえ個人崇拝で捉えてはならない(日本建国の和、理念こそが重要)と戒めている形となります。
そうした神武天皇の伝統的位置付けにおいて、そのY染色体を云々、まじめな議論の根拠にするなどナンセンスの極みです。
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過去に例があれば今もやってよい というのは先人の営み積み重ねを蔑ろにする伝統破壊

過去に例があるから今もやってよいというのは伝統を尊重する在り様ではありません。
伝統自体変遷してきているものですし、中長期で時代状況・社会状況も変わってきています。
皇位皇統に関しては、天皇親政・同族婚(政治と直接的に関わる意味で権力闘争の面もあり)の時代から理念文化的象徴的存在へと位置付け役割も変わっています。
憲法に規定され国家・法制の枠組みで守られるようにもなっています。
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旧宮家の子孫の方々に非常に無礼な「護る会」の提言 養子前提など不見識も甚だしく

「護る会」の10月23日の皇位継承に関する提言は、旧宮家子孫の方々に養子を求めているという意味で甚だ不見識で非常に無礼なものと捉えます。
現行法制・皇室典範の規定(女性天皇排除、養子禁止)に反するだけでなく、歴史の教訓も踏まえて内容を高めつつ積み重ねてきた先人の営み、伝統の昇華を蔑ろにするもので、到底保守、伝統護持などと言える筋合いのものではありません。
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保守か革新か 皇室典範の捉えで区別が可能

現行法制・皇室典範においては女性天皇(男系女子)は排除され養子も禁止されており、この枠組みを解し尊重する立場が保守、伝統尊重派となります。
女性と女系の違い・女系になったら終わり・旧宮家を養子で等を主張する男系派、自称保守もいますが、 現行法制・皇室典範 の意味合いを解さずに軽視し蔑ろにする意味 (改正すればよいという安直な姿勢) においては女系派と同じであり革新、伝統軽視の側となります。(「護る会」の提言も同様)

知的、建設的な議論においては、保守側と革新側の双方(本質的な論旨、立脚点を異にする対立論者)による対論が重要であり、保守を外して革新A vs 革新B といった構図では議論が深まっていきません。
メディア、論壇には、あらためて保守・伝統側の立場から皇室典範における女性天皇( 男系女子、過去に例有り)の排除、養子の禁止の意味を理解し説明出来る論者を招いての対論構図提示を求めたいと思います。
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「護る会」 皇室典範の無理解・軽視で心許なく

自民党の保守系有志とされる議員のグループ「日本の尊厳と国益を護る会」(通称「護る会」)が、10月23日に「皇位継承の安定への提言」を取りまとめ発表しました。
その内容を見ると、現行の憲法体系、皇室典範(女性天皇排除、養子禁止等)に関して理解が浅く伝統の昇華を蔑ろにする姿勢が如実に表れたものとなっており、非常に心許なく危惧を感ずるところです。
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0歳即位 全身全霊とは対極の憲法「象徴」規定

憲法体系において天皇の即位・在位に年齢の制限はありません。
0歳でも100歳でも「直ちに即位する」という規定です。
皇室典範 第四条 天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。

0歳の赤子ですからいわゆる公務や祭祀はおろか憲法に定めらた国事行為すら出来ない形となります。
それでも良い、不都合はないというのが憲法における天皇の位置付けであり、そうした存在、在り様をして、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基くと規定をしているのです。
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万世一系は過去の礼賛、無謬論ではなく現世を縛り未来に和の普遍理念を繋ぐ美称表現

日本の皇位継承の歴史においては道鏡事件もあれば南北朝の分裂もありました。
これらは今現在でも隠蔽されることなく皇統・皇位継承議論における基本的な要素として捉えられています。
国の歴史、人のすることはきれいなことばかりではなく、迷いや誤りもあっての積み重ねとなります。
過去に悪事や悪例がないことが重要なのではなく、いかにそれらを修正し高めて来たかこそが重要であり、そうした先人の蓄積、伝統の昇華が尊敬、誇り、役割意識、責任感に繋がります。
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万世一系であり万世男系ではない

日本における皇位継承は一系継承:「万世一系」であり「万世男系」ではありません。
男系で繋がればよいという継承方法ではない点が男系派に限らず主要メディア、論壇でも理解出来ていない様子で、これが皇位継承議論が本筋からズレて深まらない原因になっているものと捉えます。

一系継承の本義、本質はより積極的な傍系移行です。
皇位を私物化せず、わが物、わが一家の物として囲わずに傍系の他家に渡す抑制、凜こそが重要となります。
重要なのは一系継承であり男系継承ではありません。
男系で繋がっても私物化の継承、卑しい継承はあり得ます。
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