万世一系は過去の礼賛、無謬論ではなく現世を縛り未来に和の普遍理念を繋ぐ美称表現

日本の皇位継承の歴史においては道鏡事件もあれば南北朝の分裂もありました。
これらは今現在でも隠蔽されることなく皇統・皇位継承議論における基本的な要素として捉えられています。
国の歴史、人のすることはきれいなことばかりではなく、迷いや誤りもあっての積み重ねとなります。
過去に悪事や悪例がないことが重要なのではなく、いかにそれらを修正し高めて来たかこそが重要であり、そうした先人の蓄積、伝統の昇華が尊敬、誇り、役割意識、責任感に繋がります。

万世一系であり万世男系ではない

日本における皇位継承は一系継承:「万世一系」であり「万世男系」ではありません。
男系で繋がればよいという継承方法ではない点が男系派に限らず主要メディア、論壇でも理解出来ていない様子で、これが皇位継承議論が本筋からズレて深まらない原因になっているものと捉えます。

一系継承の本義、本質はより積極的な傍系移行です。
皇位を私物化せず、わが物、わが一家の物として囲わずに傍系の他家に渡す抑制、凜こそが重要となります。
重要なのは一系継承であり男系継承ではありません。
男系で繋がっても私物化の継承、卑しい継承はあり得ます。

尊皇の本質は尊“皇統”

皇位皇統、天皇を論ずるにおいて注意をしなければならない重要かつ基本的な認識、姿勢として、尊“皇統”と尊“時の天皇(一家)”の相違認識、区別があります。

平時においては「皇統≒時の天皇」と同一的に捉えられることも多く、そうした意味で「承詔必謹」など時の天皇、その意図・言を重んじる考えも残されています。
しかしながら、一旦緩急があった際には目先の尊皇・勤皇とは別に皇統こそを重んじるべき、たとえそれが時の天皇の意向にそぐわない形であってもという尊皇=尊“皇統”の究極は、道鏡事件における和気清麻呂(わけのきよまろ)の例(後に正一位に叙位)でも明らかなところです。
日本における天皇の意味合い、位置付けは「個人崇拝」とは全く別のものとなります。

王位皇位の世襲方法分類 直系か一系か

皇位継承議論をあらためて有意義な形で公論=国民的議論として興していく意味では、今一度基本に立ち返って一から進めていくことが重要と考えます。
今は、
・男系とは
・男系か女系か
・女性と女系の違い
・女系になったら終わり
・万世一系とは
・Y染色体
などなど、皇位継承議論が右派・左派双方の立場において伝統の昇華である皇室典範の規定(女性天皇:男系女子の排除、養子の禁止等)から逸れた形で歪んでしまっている状況、建設的でない回り道の議論展開になっている状況と見受けます。

皇位は預かりもの 君民共治

日本の天皇存在、皇位継承を理解する上で重要な視点を挙げるとすれば、それは「皇位は預かりもの」「君民共治」という捉え、概念です。
皇位は天皇一家の私物、家督、相続物とは異なるものです。
皇位の私物化は許されません。
それ故に「皇室典範」という法で継承のルールが定められているのです。